鰹だしの作用
ラジカル消去活性
はじめに
鰹節は昔から使用されてきた伝統調味料であり、広く日本料理に使用されてきた。一般に鰹節には、鰹を焙乾した荒節と荒節の表面を削ってカビ付けをした枯節がある。これらの鰹節は地域性や調理法などで使い分けされている。
荒節だしについて、ラジカル消去活性や抗酸化能を発揮することは確認されているが、荒節だしと枯節だしのラジカル消去活性について比較した報告例は少ない。そこで荒節だし、枯節だしを抽出温度や抽出時間から相対的に検証し、活性成分についても検討した。
試料
荒節、枯節は焼津産のものを用い、ミキサーで粉砕したものを使用した。方法
抽出温度は40~100℃、抽出時間は10~60分で行った。ラジカル消去活性の測定は、DPPHラジカルを用いた比色法にて行った。
結果と考察
両だしの各抽出時間・抽出温度におけるラジカル消去活性を図1、図2に示した。両だしともに100℃ 30分の抽出で最も高いラジカル消去活性を示した。またどの抽出時間・抽出温度においても荒節だしは枯節だしの1.7~1.8倍のラジカル消去活性を示した。
図1 荒節だしの抽出温度・抽出時間によるラジカル消去活性 | 図2 枯節だしの抽出温度・抽出時間によるラジカル消去活性 |
この違いを検証するため、porapakQにより、吸着画分(主に香気成分)と非吸着画分(主に呈味成分)に分離した結果、非吸着画分では両だしでラジカル消去活性に違いは見られなかったが、吸着画分では、荒節だしが枯節だしより4.1倍強いラジカル消去活性を有することが確認された(表)。そこで、吸着画分をGC-MSにより分析したところ、主にフェノール系の物質がラジカル消去活性の違いに寄与していることが確認でき、この中から2種類のフェノール系物質について新たにラジカル消去活性を明らかにした。
表 荒節だしと枯節だしのporapakQによる分離
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基礎データ |
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作用 |
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